究極の役割分担が行われる蜜蜂のコロニー


私たち人間に様々な恵みをもたらしてくれる蜜蜂。蜜蜂はどのような生態なのでしょうか?

蜜蜂のコロニー(群れ)は「働き蜂、雄蜂、女王蜂」の3者によって構成されています。「女王蜂が独裁制を敷いて、多くの働き蜂や雄蜂を従えている」とされますが、このような階層の分化は人間社会になぞらえて考えられてきました。実際はそれぞれが役割分担をして有機的にひとつのコロニーを維持していると言われています。


働き蜂は全て雌で構成されたコロニーの主たるメンバー


働き蜂は、全て雌で女王蜂の娘または姉妹です。働き蜂の仕事の分担は日齢によってある程度決められています。



蜜を集める働き蜂

さなぎから羽化したら、まずは巣の掃除係です。羽化から3日後には幼虫や女王蜂のお世話係をします。羽化後一週間ほど経つと、今度は巣の原料の蜜蝋を分泌できるようになり、巣作りを担当するようになります。またこの時期から外勤蜂が採ってきたはちみつを巣に貯えて、羽を震わせて風を送り、水分を飛ばして糖度を上げることもします。羽化してから2週間ほど経つ頃には、巣の外に出る外勤の仕事にシフト。外勤蜂は、はじめは巣門の前で外敵の侵入を阻む門番をします。門番をしながら飛行訓練を行い、巣箱の周囲を飛び回り位置を記憶して蜜源となる花に蜜を採りに行くのです。


雄蜂(ドローン)は遺伝子を運ぶメッセンジャー


英語では、雄蜂を怠け者の意味を持つ「Drone(ドローン)」と呼びます。雄蜂は巣の中で、子育ても巣の修復も何もせずに、働き蜂から餌をもらうだけ。そんな様子からドローンと呼ばれるようになりました。しかし、雄蜂はただの怠け者ではなく、母である女王蜂の遺伝子を次世代につなぐ重要な役割を担っています。



他の蜂よりも肩幅がしっかりしてずんぐりした体格の雄蜂



春になると雄蜂は他のコロニーの女王蜂との交尾のため巣を飛び出します。そして何千匹ものライバルたちを出し抜いて女王蜂との交尾によって自分の遺伝子をつなぎます。そして彼らは自分たちの役目を終えると地に落ちて息絶えます。

そのようなサバイバルに勝ち抜くために、雄蜂はよく見える大きな目と力強く羽ばたける翅と体躯を持っています。

巣の中では怠け者のように見え、交尾をしたら息絶えてしまう雄蜂ですが、近年の研究で女王蜂と交尾出来なかった個体は、交尾を終えた女王蜂が鳥などの天敵に襲われずに無事に巣に帰れるように護衛をしていることがわかってきています。


女王蜂は繁殖を一手に引き受けるコロニーの要


大きな腹を持ち、巣の中を働き蜂に囲まれて悠然と歩く姿をみて、昔の人は女王蜂に「Queen」の名前を与えました。


立派な大きな腹が女王の証


女王蜂の主な役割は繁殖です。生涯に一度だけ他のコロニーの雄との交尾飛行を行い、10~15匹ほどの雄蜂と交尾をすることで受け取った1000万個ほどの精子を使って繁殖を行います。女王蜂の寿命は2~4年でその間毎日1000~2000個の卵を産み続けます。

働き蜂との関係は人間の世界で言うと君主制よりも共和制に近く、コロニーの意思決定を女王蜂が行うことはありません。女王の寿命や病気による代替わりも働き蜂が判断します。新しい女王の誕生さえも女王蜂が主導するのではなく働き蜂によって選別が行われます。とはいえ、女王蜂の役割は繁殖だけではなく、コロニーの情報伝達の中心を担ったり、フェロモンを出して働き蜂の産卵を抑制したりします。


生き残るために効率化された生態


蜜蜂は自然界で小さく弱い存在です。その蜜蜂たちが繁殖を1匹の女王蜂に担わせて残りの雌がその繁殖の手助けをするという戦略が結果的に効率的に子孫を残すことにつながっているのです。

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