奈良市内にかき氷で有名な「ほうせき箱」というお店があります。メニューのひとつに、奈良県内で採れたはちみつを使った期間限定のかき氷があります。そのはちみつを採ったのが今回訪ねた五條市で養蜂を営む東田中さんです。東田中さんの養蜂やかき氷にはちみつが使われた経緯などをお伺いしました。


養蜂場のある奈良県五條市


五條市は奈良県の南西部に位置し、古来より大和国と紀伊国を結ぶ交通の要衝として栄えてきました。江戸時代の街並みの残る五條新町や、映画の舞台となったことでも有名です。

取材当日は近鉄大和八木駅から車で京奈和自動車道を和歌山方面へ30分ほど南下して、東田中さんと合流。取材班と共に養蜂場を訪れました。東田中さんは五條市で養蜂を営むほか、柿と梅の栽培も行っています。


すぐそこが和歌山県という東田中さんの蜂場


「うちが育てているのはセイヨウミツバチ。このあたりは養蜂の盛んな和歌山との県境で、周辺で養蜂をしている人は20軒くらい。ニホンミツバチを飼っている人もいるけど、養蜂を生業にしている人はセイヨウミツバチを飼っているね」

そう話す東田中さん。養蜂を行うにはたくさんの花蜜が必要です。20軒もの家で養蜂ができるのは果樹栽培を始め、花をつける木が多いことがうかがえます。


父親から引継いだ蜜蜂と果樹を守る定置養蜂家


東田中さんの養蜂場に訪問した時期は今年の採蜜はすでに終了していて、スズメバチ避けを付けた単箱(1段積みの箱)の巣箱が木々に囲まれた広場に整然と並べられていました。巣箱の入り口からは働き蜂が元気よく飛び出してはまた別の働き蜂が戻ってきます。





東田中さんんは現在51歳。数年前まで会社員として働き、退職後にお父さまが行っていた柿と梅の栽培と養蜂の仕事を引き継ぎました。


「養蜂の最盛期には朝の6時から採蜜をするんだよ。柿や梅の世話と養蜂の仕事が重なるときはなかなか大変だね。でも、養蜂の魅力は手をかけた分見返りがあるところ。蜜蜂を育てる面白さがあるんだよ。」





東田中さんに、これからについても尋ねてみると

「今は柿や梅もやっているけど、これからは養蜂をなるべく増やしていきたい。妻も蜜蜂を育てるのを気に入っているからね」

そう語る東田中さんの姿は更なる意欲に満ち溢れていました。


パワフルでチャーミングな頼れる奥さま


蜂場では、ベテランの女王蜂が新しい女王蜂が産まれたのを機に、働き蜂を連れて新しいコロニーを作るために巣を飛び出す分蜂が朝から起こっていました。



木の枝にできた茶色いコブのようなものが分蜂した蜂の集合体

分蜂した蜜蜂の群れは、蜂場の傍ら3メートル弱ほどの高さの枝に集まっていました。その蜂の群れを捕まえるために奥さまが軽トラで颯爽と登場され、慣れた様子で脚立を立てて、持ってきた空の巣箱にその群れをそっと迎え入れます。

重い脚立を運んだり、木で作られた巣箱を軽々と運んだり、飛び回る蜜蜂をものともせずにパワフルに動き回る奥様の姿に私たちはあっけにとられました。


「蜜蜂に刺されても大したことはないのよ」と朗らかに笑う姿はとてもチャーミング。

パワフルでチャーミングな奥さまは、東田中さんが勤めていた頃はお父さまがする蜜蜂の世話をずっと手伝っていたそうで、現在は夫の東田中さんを支えて二人三脚で蜜蜂の世話をしています。





「蜜蜂のことを怖いと思ったり、嫌だなと思ったりしたことはないの。育てている蜜蜂たちはみんなかわいいのよね」

と楽しそうに蜜蜂愛を語ってくださいました。


地域のつながりから広がるはちみつの利用


上述したほうせき箱というかき氷の専門店は、とても人気で毎日整理券が配られます。特に夏の間は朝9時の整理券配布に7時から並ぶ人がいるほどです。そのかき氷店で東田中さんのはちみつが使われ、はちみつが販売されていました。



「ほうせき箱さんが柿を使ったメニューを開発するために、柿の産地として有名な五條市の西吉野エリアに柿を仕入れに来た際にご縁があってつながったんだよ。自分もはちみつを使ったかき氷をお店に食べに行ってね。お客さんが喜んでくれるようすを観れるのが嬉しかったね」と話す東田中さん。


東田中さんのはちみつは、優しく上品な味わいの百花蜜で、細かく結晶してシャリシャリした舌ざわりがあり、口に含むと少し酸味が感じられてそのあと優しい甘みが広がります。

東田中さんのはちみつのように、地域のはちみつが地元のよいものを組み合わせた飲食店メニューなどにさらに使われるよう期待したいです。

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