『大和の雫』は2017年に奈良県産のブランド産品として発売されました。今回、大和の雫の企画開発代表の養蜂組合前組合長 吉岡さん、現組合長 森本さん、販売担当東田中さんに開発までの秘話を伺いました。


未来に向けた取り組みとしてのブランド化


奈良県は畜産業が盛んで、これまでさまざまな畜産物のブランド化に取り組んでいます。あまり知られていませんが、養蜂も畜産業のひとつ。はちみつもブランド化して商品を開発し販売する機運が養蜂組合の組合員の中でも機運が高まっていました。

話を伺った三人は奈良県内で養蜂を生業とする養蜂家。自分たちの生業や業界について危機感を抱いていました。





「養蜂業が後継者不足や担い手の高齢化によって衰退しつつあるという危機感から、養蜂家の所得向上をできないかと考えていました。」と吉岡さん。奈良県産はちみつをブランド化する話が持ち上がり、吉岡さんたちは新たな取り組みに挑戦することになりました。

それから奈良県の養蜂組合に所属する養蜂家で今回のブランド化に参加する養蜂家を募り、商品化を始めました。


発売までの道のりと簡単ではない販売


「商品化にあたっては、同じ時期に採れたはちみつであること、蜜蓋のされた完熟したはちみつであることにこだわりました。」と吉岡さん。

はちみつの蜜源になる花は春から夏にかけて順番に咲いていくので、なるべく蜜源植物のばらつきを無くすために採蜜の時期を指定してブランド化に賛同してくれた養蜂家さんからはちみつを提供してもらっています。そのはちみつを集めて、奈良県ではちみつやはちみつを使った加工品を製造しているやまと蜂蜜で充填してもらっています。







「初めの年は、はちみつそのものが不作の年でもあり、大和の雫用に提供してくれる蜂蜜がなかなか集まりませんでした。それぞれの養蜂家は自分たちでもはちみつを商品化していたり、既存の販売先があったりします。それでも既存の販路への供給責任を果たしつつ大和の雫のためになんとかはちみつを提供してくれました」と森本さん。


無事商品として発売し、現在は橿原市にある奈良県の農産物直売所の「まほろばキッチン」や奈良市のふるさと納税(数量限定)を中心に販売されています。

「販売には苦労するところもあります。安全性を担保するために行っている各種の検査費用のために販売価格がどうしても割高になってしまうんです。それでも、はちみつの品質については自信を持った養蜂家さんたちが集まって作っている商品です。少しずつですがその価値を認めてくれているお客さんも付いてくるようになりました。」そう東田中さんは語ります。





「高品質で安心して食べていただけるはちみつを養蜂家が自ら販売することで、より多くのお客様に奈良県のはちみつを楽しんでほしい」そう願って取り組んでいると話す東田中さん。お客様から望まれる、安心安全と美味しさの両立を、品質に客観的な基準を設けることで実現していく。この取り組みを成功させて継続することで奈良県産のはちみつの信頼度を高めていこうとしています。


持続可能な養蜂産業のために


また、奈良県は畜産業の他にも林業や農業といった一次産業も盛んな地域です。蜜蜂が作るはちみつはもちろん、蜜蜂自体も県内の農家さんにとっては作物の受粉を助けてくれる大切な存在です。秋から冬にかけてはハウス栽培の苺の受粉のために蜜蜂を貸し出すことも養蜂家さんの仕事のひとつ。苺の他にもメロンやナスなどの果物や野菜がハウス栽培で年中美味しく食べられるために蜜蜂は深くかかわっています。





「蜜蜂は養蜂家のためだけではなく他の産業にも利益をもたらす」そんな養蜂の仕事を衰退させることなく次の世代に渡していくためにと、養蜂家さんたちは常に未来のことを考えて取り組んでいます。

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